今度はカタツムリかよ そんなに踏まれたいのかよ
そんなに私の靴底の味をナメたいのかよ
夜中 12時過ぎ お菓子買いに出かける
暗い 夜道歩き 突然 足元から
やわらかい何かがその むぎゅっ とした殺気放ち
誇り高き我がバランス 一瞬にして崩れうわぁっ
なんだテニスボールか なんで落ちているんだ
近くにあるコートからでも転がってきたのか
コケなくてよかったな、と、ホッとした私は
これが惨劇の始まりだとまだ知らなかった
それから私の生活は なにもなかったかのようにつづく
コンビニへと向かう夜道を 来る日も来る日も あるく もどる
なにか変わったとしたら 歩くことが冒険のようになった
今夜また何か スキをついて私に 踏まれにきたんだだだだだだDA!
今なにか動いた!闇の中でなにかが!
コンマ2で避けて踏んでないがなんだおまえはー!
なんだ黒猫かよ おまえ見づらいんだよ
夜間視力悪いからたのむよちったァ鳴いとけ(ニャ~?)
それから私の住む世界 地面から10センチくらいだけが
戦場 獣が無音に吠える道に 今宵の月が血に飢える
なんて 妄想に浸っている時は
なにかを踏んじゃう予感で醒める なんだ今度は!
なんだドブネズミかよ いきなり出てくんなよ
さては黒猫に追われて逃げてきたのだったな
次はスズメバチかよ なんで飛んでないんだよ
ってちょっとごめんなさいゴメンナサイ飛ばないでくれ
そしてヒキガエルかよ 自然豊かなんだな
ここは自然の敵の悪のヒトのアジトなんだぞ
今日はハリネズミだぜ 踏みたくないヤツだな
今日はシオマネキだぜ ここは浜辺じゃないし
今日はナンノムシかな? なんか妙に赤いぜ
今日はダレダオマエハ!? もう言葉にできない
踏み潰すところを 何回も避けてたら
更に奇天烈な障害がこう訴えてくる
「おまえ避けるなってば 避けてもムダだってば
オレを踏んで蹴ってそして罪を背負って生きてけ」
そして以前見えなかった障害物が
分子原子クォークレベルまで見えてくる
やがて地面に足 置くたびに怯える
コレを踏み砕いて そのままどこかに落ちるかな
今度は地球なんだな マジで踏まれたいんだな
ならば私の靴底の味をとくと味わえ